2004年03月20日 (土)

白い花の降り下りる日

 久しぶりに冷え込む夜の眠りから目覚めたら、雪が降っていた。
ぽってりと大粒の、湿った雪は、まるで白い花びらのようにふわふわと空から舞い降りてくる。始めは、その水分で地面をぐしょぐしょにして、そのうちに屋根の上も木の幹も葉っぱも白く染め上げてしまった。
 同じ雪でも違う。名残惜しいような、春の雪。
 シンシンとした冷たさが忍びよらないように、薪ストーブを全開にして燃やす。
2階からは、「すーすー」と田中さんの静かな寝息が聞こえてくる。
大好きな外に出られないラフカイも、一番暖かいストーブの側でお腹を出して、うつらうつら、ごろんと転げている。ラフカイをそっと撫でると、頭も背中の毛も薪の熱を吸収して驚くほど暖かく、さながら巨大な湯たんぽみたい。ラフカイを抱いて寝たら、さぞかし良く眠れるだろうな。
火の上に掛けられた、やかんの湯が沸き立つちりんちりんとした音が、小屋の空気を支配しているような、静かな週末の昼下がり。
 何があるわけでもないけれど、こんな時間は幸せだなあと思う。

↑Top | 文:菊地千恵